【調査レポート】地域・産業界と協働したキャリア教育・職業教育に関する実態調査
キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会では、2015年夏に、行政機関を対象とした、地域・産業界と協働したキャリア教育・職業教育に関する実態調査を行い、このたび、結果レポートを公開いたしました。
学習指導要領の改訂などの教育制度改革の中、地域との協働のキャリア教育が求められるようになり、地域・産業界の参画も必須と言われるようになりました。しかし、異なる価値観を持つ多様なセクターの協働には、様々な課題が存在します。そこで、この調査は、そうした課題をあきらかにすることを通して、地域や産業界と連携してキャリア教育を進めるにあたって地域・産業界が何をすべきか、そのヒントをつかむことを目的として実施しました。
当協議会においても、本調査から見えた可能性と課題を、地域・産業界と学校・行政の協働によりキャリア教育の推進の一助となるよう、活かしていきたいと考えております。
最後に、本調査の実施においては、多くの行政機関の皆様にご協力いただきました。この場をかりて、改めてお礼を申し上げます。ありがとうございました。
調査概要
●調査目的:地域や産業界と連携してキャリア教育を進めるにあたっての課題をあきらかにし、
地域・産業界へ参画を呼びかけるきっかけとすること
●調査対象:都道府県・政令指定都市の教育・雇用政策関連部署
および市立高校を有する市の教育部門 合計237箇所
●実施期間:2015年7月21日(火)〜8月20日(木)
●回答数(回収率): 都道府県 51件(35.2%) *27都道府県(57.4%)
政令指定都市 15件(36.6%) *10市(50%)
市立高校を有する市 16件(27.1%)
合計 82件(34.5%)
調査結果
★結果レポート(全文)のこちらから→ 結果レポート全文_20151209(4.8 MB)
●トピック1●都道府県の約5割が、地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する
会議体・団体等をすでに設置。市区町村単位での必要性も。
回答した都道府県の52%はすでに類似する組織が存在しており、地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する体制構築が進みつつあることがわかる。また、政令指定都市においても、約半数が「すでに類似の組織が存在する」と回答しており、都道府県単位のみならず、市区町村単位でキャリア教育を支える地域のネットワーク構築の必要性がうかがえる。
Q:地域キャリア教育推進協議会または推進会議など、地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する会議体・団体の設置を検討していますか?
●トピック2●キャリア教育等を推進する会議体・団体の設置の効果に期待感。
課題は運営にかかる「ノウハウ」「マンパワー」「資金」の不足。
推進会議等の設置は、児童・生徒・教員にとっての効果の可能性が感じられていることがわかる。その一方で、やはり課題となるのは「ノウハウ」「マンパワー」「費用」など、運営面への懸念がうかがえる。
Q:推進会議などの設置にあたって、課題と感じていることはどのようなことですか?
●トピック3●「推進会議などの会議体・団体の設置」が地域・産業界との
相互理解・関係構築を促進する?
地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する会議体・団体等の設置状況別の「地域・産業界への協力ニーズ」の分析を行った。下記の3項目(表参照)において、「すでに類似の組織が存在する」層では、「あまり思わない」「全く思わない」という回答が「未検討・わからない」層と比較して多く出ており、地域・産業界との相互理解が進んでいることがうかがえる。
●トピック4●地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する体制構築の“その後”。
地域・産業界の課題は、「教育プログラムの質の向上」。
地域と協働でキャリア教育・職業教育を推進する会議体・団体等の設置状況別の「地域・産業界への協力ニーズ」の分析を行ったところ、すでに類似の組織が存在する地域においては、教育プログラムの質の向上へのニーズが出始めていることがわかる。